バニラ

随分とあっさりとしたやりとりであった。

引き留めて欲しいといった要求はないが、もう少し納得してもらえるまで時間が掛かると思っていた葵は複雑な心中だった。


「あ、そうだ~!葵ちゃん!送別会やりましょう。
文くんもみんな呼んで!ねっ?」


「はぁ…。
でもなんか悪いです。私まだ数ヵ月しか働いてないのに。」


「葵ちゃんには頑張って貰ったし、ささやかだけどお礼がしたいの。ねっ、そうしましょ!」


ミキの益々明るくなるその態度は葵を更に複雑な気持ちにしていく。