バニラ

気が付いたらラブホテルの入口だった。


ドラマや漫画なんかでよく目にするこの光景。


(オイオイ、しっかりしろよ。自分の気持ちさえきちんとしていればこんなことには絶対ならないのに。なんと情けない。)


葵は常々そう感じていた。


なのでまさか自分にそのような出来事が起こるなど想像もしていなかった。


「カラオケしに行こうよ。」と文之に言われたはずなのだが・・。

いざ、こうも堂々とホテルを目の前にされると何も言えなくなってしまった。