バニラ

葵はまだ治まらぬ手の震えを感じなから無理矢理そのロッカーに荷物を押し込んでいた。

内側の扉に備え付けてある鏡に目をやると、やはり強ばって顔つきの葵があった。


(もうあんまり此処にも居られないのかもなぁ。)

そうため息をつくとロッカーを静かに閉めた。

手元の携帯がブルブルと震えている。


「もしもし・・?」

電話の先は文之だった。