バニラ

丸一日掛けて葵は綴り物に精を出した。


藤木はそんな葵にも全く興味を示さず涼しい顔で自分の仕事をこなしていた。


そして定刻のチャイムと共に葵の作業も片付けることが出来た。


単純作業ではあったがやり遂げた達成感はやはり大きなものだった。


「藤木さん、終わりました。」


藤木は何も話さない。


「あの…。藤木さん?」


「聞こえてるわよ。
どうもありがとう。
もう帰っていいわよ。」


「はぁ…。

分かりました…。」


何とも冷たい扱いだった。