バニラ

藤木は相変わらず葵を視界に入れようとはしない。


重い沈黙が流れる。


「じゃああれをお願いします。」


と、藤木が指を指した先には古びた茶色の箱から飛び出した数々の資料の山が積み重なっていた。


「えっと…。
あれをどうしたらいいですか?」


「綺麗に日付順にして綴ってちょうだい。」

それだけ言うと、もうそれ以上葵と会話をしようとはしなかった。

(なんであんなに感じの悪い言い方するんだろう。
全く気分が悪い。)