バニラ

この日も結局、仕事らしい仕事は与えられず一日が過ぎていった。


「あなた今日お化粧は?」


藤木が背後から低い声で言った。


「朝、あまり時間がなくて…。」


「それじゃ今からしてきてちょうだい。
そんなみっともない顔ドレスコードに反するわよ!」


「化粧ポーチを忘れてしまって。

すいません…。」


「あのね、真面目にやってちょうだい!」