バニラ

ミキはそれだけ言うと席に戻ってしまった。

「葵ちゃん、携帯鳴ってるわよ~。」


洗いものをしていたトモミが葵の携帯を指さす。


(お疲れさま☆葵頑張ってるか?
今から店行くわ~。)

文之からだった。


文之が来る。ならば化粧も直して髪の毛も直して、香水もつけ直して…。


「いらっしゃいませ~。」


カランと鳴るドアの前文之が既に立っていた。


「あらぁ~
お久しぶりね!葵ちゃん、文くんよ~」


ミキが文之に掛け寄る。