バニラ

「葵ちゃん辞めちゃうんだって?
寂しくなるわぁ~。」

客にそんなふうに声を掛けられることも多くなった。


あの日から葵は特にミキの顔色をうかがうようになっていた。


「最後くらい店に貢献したらどうなの?」


ミキに言われたこの言葉は葵は深いショックを受けた。


(ママは私のこと役立たずとでも思っていたのだろうか)


ならば最後の日まで出来る限り、ママに、いや、この店に貢献しようではないか。