バニラ

三月も半ばになり、葵の店での活躍も残り僅かとなった。


思えば長かったようで実に短い期間であった。


年明けすぐにミキに電話をしてからまだ二ヶ月しか経っていない。


「葵ちゃん、田中さんの席お願い。」


店は三月に入り毎晩繁忙日になっていた。



葵の次のスタッフはまだ決まってないようだ。


「募集はかけてるんだけどねぇ。なかなかねぇ~。」

もはや客との間にこのような会話が飛び交う。