バニラ

千夏に文之のことを話そうとは思わなかった。

アルバイトも居酒屋ということにしてある。

千夏がスナックのこと、文之のことを理解してくれるようには思わない。


本当のことを言うことが全ていいとは葵は思わなかった。


話せないようなことをしているのは自分自身なのだが、それを人に話すことで、どのような目で千夏に見られるのかを考えると怖くてしょうがなかった。


正直、ひろしのことは頭に全くなかった。


それほどに状況は変化したのだ。