広い階段。広い踊場。 一息に何人通れるのだろうか。 少女は呆気に取られていた。 少女は階段を一段一段、少しずつ上った。 すると目の前に大きな扉が現れた。 「ここなら…誰かしらいるはず…」 少女は扉を開いた。 キィ…… 重たい扉が開く音が静かな広いお城に響いた。 「あの……」 「すみません。今日からお世話になる者です。王子に挨拶をしに参りました」 少女は肩に掛けていた鞄の取っ手を強く握りしめながら言った。