「あら、どこに行くの?」 「え…あ……」 ズキン…… 少女は先程に増して、胸が痛むのを感じた。 行ってはいけない。と、言い聞かせても、少女の身体は意識に反するように扉に手をかけ、庭園に向かおうとしていた。 「その…用事が…」 「…気をつけて言ってくるのよ…王子を待たせる事なんてどうって事ないんだから。走らず行きなさい」 ノエルの口から思いもよらぬ言葉。 少女は目を丸くし、ノエルを見つめた。