全ての赤が散った後。 探偵は静かに歩き出す。 コツコツと、コツコツと。 焦げ茶色の革靴を慣らしながら。 離れていく。 あの音が。 あの探偵が。 行かないで欲しい。 少女は願う。 心の底から、全てをかけてそう願う。 それでも遠くなる。 離れていく革靴の音。 探偵は、扉に手をかけた。 チョコレート色の扉に。 少女の願いは、叶わない。