水色のエプロン

「良い狆は、イギリス、フランスにしか居ない。なんてことも言われていた時代もあったそうじゃ。現在の日本にいる狆は、ヨーロッパから逆輸入をした血統を改良したものじゃ。もちろんこのワシも・・・。」
「逆輸入?車じゃないんだから・・・。でも日本原産犬で初めて世界に公認犬種として認められたのが、狆なんでしょ?私学校でならったわ。」
「そうじゃ、よくしっておるのう。」
「せっかくの日本原産の犬、なんだから、外来犬種に負けないで人気を復活して欲しいわ。」
 私はコハクにそう言い、背中をやさしくブラッシングした。
「そう言ってもらえるとありがたい。そのためにはワシも長生きせんとのう。世界一の長生き犬になってギネスにでも載るかのう。ウエルカム日本!などと言わんでおくれよ。ワシら狆は日本の誇るべき抱き犬なのじゃから。」
 ここは、笑うところかしら・・・。おとなしく、愛らしいく、明るく、遊び好きで。おまけに茶目っ気もたっぷりなのが狆の性格だった。
 何はともあれ、私は出来るだけトリミングに時間をかけず、コハクのグルーミングを終わらせた。
 狆は長毛であるがお手入れは簡単。ピンブラシやコームで軽くとかし、シャンプーをする程度で大丈夫。
コハクをシャンプーし、しっかりブローをすると、白黒の綺麗な被毛がさらりとなびいた。
「後姿がとっても綺麗よ。」
 私はコハクをほめた。
「ナンパはよしておくれよ。お嬢さん。」