水色のエプロン

全ての生き物は、自分の中に時計をもっている。私たちが歳を取るのと同じように、犬達だって歳を取る。それは当たり前のこと。
だけど、大好きなペットと、ずっと一緒にいたいと思う。それが全ての飼い主さんの願いだと思う。しかし犬達は、人間の数倍の速さで成長している。その分、老化も早く進んでしまう。犬は生まれてから最初の一年で15歳になり、その後半年で20歳になり、そのまた半年後に24歳になり、3年目以降は1年に4歳ずつ歳をとってゆくと言われている。つまり人間の1年は犬にとっての4年に相当するということなだ。
大型犬はさらに成長が早く人間で言うと1年に7歳も歳を取ってしまうといわれている。
「つまり、コハクが十四歳ってことは・・・。」
 私はコハクの年齢を頭の中で人間の歳に当てはめる計算をした。
「七十二歳ってこと?」
 もしも人間の七十二歳のお爺いちゃん、お婆ちゃんが、全身エステに行くって考えたら、いくら犬であっても、体に掛かる負担は大きくなるのも当然だ。
「扱いには十分注意しなきゃ・・・。」
 私は、気をつけながらコハクを抱き上げた。
「ワシをそんな年寄り扱いしないでおくれ。」
 するとコハクは、私の顔を見上げてそう言った。
「ごめんなさい。だってコハク爺さんの年齢は十分お爺さんの年齢なんですもの・・・。」