水色のエプロン

「いろんな原因があるわ。動いて縺れることや、静電気によってできるもの、洋服なんか着てる子は、服と毛が擦れて毛玉ができやすくなることもあるわ。いずれにせよ、こまめなお手入れが必要なの。私だって朝起きて髪の毛をブラッシングしないとこんがらがっちゃうことあるもの・・・。でもリルのこの程度の毛玉はたいしたこと無いわ。ほら、もうとけた。」
 私はリルの耳にコームを通して見せた。サラサラの毛の中をコームがスッと抜けた。
 リルはそれに満足した顔を浮かべた。私はそのままグルーミングを終わらせリルをシャンプーすることにした。シャンプー中は、ごしごし洗って毛が絡んでしまわないように注意をしながら、やさしく地肌をマッサージするように心がけた。シーズーの毛も細くてデリケートな糸のようなものだから。
時より私はポッキーの様子も窺った。ポッキーはおとなしく伏せをして、こちらの様子をじっと見ていた。
 シャンプーを終わらせると、リンスをしっかりし、ブローに入った。癖を出さずにストレートにまっすぐブローするのは至難の業だ。
 しかしリルは慣れていた。長いコートをブラッシングされていることに。
「リルはいい子ね。おとなしくしてくれるからとってもブローがしやすいわ。」
 私は頭の毛をとかしながらリルにそう言った。
「だって、綺麗になりたいんですもの。」
 その仕草と表情はまるでセレブだった。
 ブローが終わると、まずトップノットをすることにした。トップノットとは、頭蓋の頂の長い房状の飾り毛のこと。
頭の毛を巻かずに、そのままにしておくと、せっかくブローして綺麗に毛を伸ばしても、自然と目や口の中に入って毛が汚れてしまうから。