水色のエプロン

「リルの毛はとっても綺麗なのね。あなたのお母さん、きちんと手入れをしてくれているのね。」
「ええ、そうよ。素敵でしょ。この綺麗なコート。」
　リルの毛並みを褒めると、彼女は真っ先に私の顔を見上げしっぽを振った。
「動きずらくて暑苦しそうだけど･･･。」
　私たちのやり取りを見ていたポッキーが横槍を挟んだ。
「あら、あなたは無駄な動きが多すぎるのよ。できるんだったら、あなたもその短い毛を伸ばしてみたら。」
　リルは高飛車にポッキーに向かってそう言い放った。
「まぁまぁ、二人とも。それぞれお互いに合ったカットで素敵じゃない。まずはレディーファーストでリルのトリミングをしましょうか。」
　私はそう言い。ポッキーをゲージに入れ、リルをトリミングテーブルに乗せた。
　フレディーは二人は仲のいい二人組みだって言ったけど、来て早々喧嘩をするのかとヒヤヒヤさせられた。
「リル、あなたのお母さんが耳に毛玉ができてるって言ってたわ。」
　私はトリミング台に乗せたリルにそう言い。耳の辺りの毛玉を手で探った。
「あった。これね。」
　それはほんの小さな毛玉だった。
「どうしてそんな物ができるの私の美しい毛に･･･。」
　リルは残念そうに、スリッカーでブラッシングする私の顔を見上げた。