水色のエプロン

その言葉を聞いてさっきフレディーに聞いた言葉を思い出した。
　もしかしたらさっきフレディーが言っていたように脚が痛いのかも知れないわ。
「では様子を見ながらグルーミングの方やらせてもらいますね。」
　小沢さんは夕方迎えに来ると言い残しモモを私に託して行った。
「さぁ、モモお迎えは夕方だけど、早いところシャンプー終わらせちゃいましょ。」
　そう言ってモモのリードを引いてトリミング室に入ろうとした時だった。
「あ痛たたたた･･･。」
「ん？」
　振り向くとモモがその場からこちらを見上げていた。
「モモ？もしかして足が痛いの？」
「ええ、そうよ。腰、いいえ脚の付け根それから背中の辺りがとても痛いの。」
　私はしゃがんでモモの顔を覗き込んだ。もともと皺だらけでしかめた顔のように見えるフレンチブルドッグだけど。モモの目は一層痛みに耐えて歪んだ目をしていた。そしてフレンチブルドッグの特徴といえる大きなコウモリのような耳をシュンと後に下げて見せた。フレンチブルドッグは耳でも豊かな感情表現を表す。
「そんなに傷むの？」
　私はモモの身を案じモモの腰をやさしくさすった。
「ありがとう。そうしてもらえると、いくらか楽になるわ。半年ほど前から、痛みはあったのよ。だけどここ最近歩くのが辛くなるほど強い痛みを感じることがあるの。あまり長い距離を歩きたくないわ。」