気だるい気分のまま仕度をすませ、最後にマルチーズのネオにも朝ごはんをあげた。ネオは私の愛犬。ネオはもともと捨い犬だった。 
とても可愛い顔をしているけれど歳は不明で心臓が弱かった、だけど日常生活に今のところ問題はなく、私はその犬を引き取ってネオという名前をつけた。



 私とネオが出合ったのは、二年前の梅雨明け間近の6月終わりの雨の日だった。あの日、トリマーの専門学校に通う私に、中学時代の友達の美枝が、一匹の小さなマルチーズを差し出した。

「もしもし梓?梓の家で犬飼えない?」
 学校が午前授業だったその日、私は早々家に帰って、部屋でくつろいでいた。そこへ美枝からの突然の電話・・・。
「えっ、犬って、いったいどうしたの?」
 私は親友から突然投げかけられた話の道筋をつかもうとした。
「今ね、犬を拾ったの。小さな犬なんだけど、雨に濡れていて凍えそうなの、このままじゃ死んじゃうんじゃないかって思って、すごく可愛そうで、、梓の家で飼うことできない?私のうちはマンションで無理だから、、。」
 電話の向こうから聞こえてくる美枝の声は、切にその犬の身を案じているようだった。
「私の家でも犬飼ったことがないから、飼えるかなんて、急には解らないよ。」
 私が低いトーンで美枝にそう答えると美枝は力を落としたようにこう言った。