水色のエプロン

そう言ってマーフィーは、けろりと一言会話を交わすと、何かが吹っ切れたかのように沢山の言葉を零し始めた。
「ねね、ネオって一体誰なのさ?僕の知ってる犬?」
「きっと知らない犬よ。私と一緒に暮らしている犬なの。マーフィーと一緒で真白なマルチーズの男の子なのよ。」
「僕と同じなんだ。」
 同じという言葉にマーフィーは喜びを感じているようだった。確かに、もし自分が人種の違う国に行って、そこで偶然日本人にあったら嬉しく思うかもしれない。犬も同じ犬種に街なかで会ったりしたら、嬉しく思ったりするのかもしれない。そんなことを思っていると、マーフィーがまた、口を開いた。
「じゃぁネオは僕のお兄ちゃんだったりして。」
 その言葉を聞いた瞬間、今度は私の方が、ときめきにも似た小さな鼓動、それでいて大きな強い感情を胸に感じたような気がした。
「マーフィーにはお兄ちゃんがいたの?」
「うんいるよ。それから妹も二頭いたんだ、妹たちは僕たちが、大きくなる前に新しいお家に貰われて行っちゃったけどね。」
 ブリーダーのうちで生まれたにせよ、飼っていた犬を交配させて、子どもを取るにせよ、メスの犬は比較的に性格も温厚で飼いやすいため、飼い主が見つかるのも早い。それよりも私はマーフィーのお兄ちゃんに興味を抱いた。もしかしたら、本当にネオの兄弟かもしれないと思ったから。
「マーフィーのお兄ちゃんてどんな子だったの?」