「だめ、ズルしようたって、そうはいかないわよ。一日に必要なカロリーはちゃんと守らせてもらいますからね。」
「ちぇっ・・・。」
 納得いかなそうな顔をしながら、フレディーはカリカリのドライフードをぺろりと平らげた。
「食いしん坊なんだから。」
 戸締りは開店のときの反対のこと。忘れ物がないようにシャッターを閉め、扉を閉め、鍵をかける。
「今日はこれでお別れね。フレディーは外の犬小屋で寝るの?」
「そうさ、オイラは空の星を見ながら寝るのが好きだから。」
 私はエプロンを外し、上着を着替え、身支度を整えた。
「さぁ、お店の扉を閉めるわよ。」
 私が扉を押さえていると、フレディーはのしのしと私の足元を抜け、外の芝生へとゆっくりと下りていった。
「相変わらずのスローペースね。」
 裏口の鍵をかけ、ペンダントに目を落とした。since1999これってなんの数字なのかしら・・・。
「ねぇ、フレディーこの数字ってどんな意味なの?」
 お店の戸締りをして振り向くと、フレディーは早速自分の犬小屋から顔を出し、大あくびで空を見上げていた。
「一番星は見つかった?まぁいいわ、明日もっと沢山お話しましょうね。」
 鍵の付いたペンダントをフレディーにそっと差し出すと、フレディーはそれをくわえ、小屋の一番奥にしまい込んだ。
「本当に鍵の番人、、、じゃなかった番犬って感じね。」
 思わず笑ってしまった。
「じゃぁね。また明日。」