水色のエプロン

「爪きりが嫌い?まさか爪きりの時噛み付いたりしないでしょうね。それに暴れるだなんて。こんなに小さな体なのに・・・。」
 チワワみたいな小型犬は暴れると、とっても保定が難しかった。保定とは犬を確り動かないように支え押さえるとこを言うのだけれど、凄く暴れてしまうような子は、暴れることが出来ないように押さえつけなければならないときもある。小さいワンちゃんは押さえ方が悪いと、ワンちゃんが力いっぱい暴れようとしたときに間接をいためてしまったり。チアノーゼを起こしてしまうことがある。チアノーゼとは人間で言うと貧血のこと、あまりに酷いと最悪の場合そのまま死んでしまうことだってある。チアノーゼを起こした犬は舌が紫色にすぐに変色するので。暴れてしまう子は舌の色が異常でないかも注意して見なければいけない。
 私の不安材料がまた一つ増えた。
「それにお尻の毛をカット、、。」
今日からしばらく、私一人で全てをこなさなければいけない。カットの確認もしてもらえない、些細な部分カットの注文だけでも凄く不安だった。
「だけど、ここまで来たらやるしかない。」
私はまずキャンディーの全身にコームを通した。
「毛玉はなさそうね。次は脚の裏の毛を刈るわよ。」
 私は1ミリのバリカンの電源を入れた。キャンディーはおとなしく手足を私にゆだねた。
「キャンディーいいこね。じゃぁ次はあなたの嫌いな爪きりよ。」
 私はまず左の後脚を取り外側の爪から切り始めた。
 パチン!私はキャンディーの爪の先を切った。
すると突然キャンディーは私の手をめがけて噛み付こうとした。
「おっと!危ない!」