「そんなことはいいから早くおいらにハンバーグをおくれったらぁ。それにおいらの名前をフレデリックなんて長々言わないでフレディーって呼んでくれないか?確かにオイラの名前はフレデリックさ、だけどそう長々言われるのには慣れていないんだ。なんだかむずがゆくなっちまう。」
 私が頭をなでようとした右手をうっとうしそうによけ、フレディーはそう私に言った。
「わ、解った、フレディー、これからはフレディーって呼ばせてもらうわね。あ、私の名前は梓って言うの、でも私のことはフレディーの好きな呼び方で呼んで。」
「じゃぁオイラみたく短い呼び方で、アズって呼ぶぞ。アズ早くオイラのハンバーグを!」
「解ったわ、今朝は本当にありがとう。それから言葉が話せるのだったら、これからも解らないことがあったら、いろいろ私に教えて頂戴ね。」
 私は流し台に置いてあるフレディーの食器にお弁当のハンバーグを入れて差し出した。
「アズは調子のいいことばっかり言うんだな。いっただきまーす。」
 フレディーはそう言ってお皿のハンバーグを一口でぺろりと平らげた。
「凄い食欲ね・・・。」
 私はその食欲にあっけに取られてしまった。
「あっ、、、聞き忘れたことがあった。このハンバーグには玉ネギ入っていないよなぁ。」
「入ってないわ、私も玉ネギ嫌いだから、お母さんが私用に、たまねぎを抜いたハンバーグを、いつも作ってくれるのよ。だから安心して。」