夕方帰宅したお父さんとお母さんに、私はネオを紹介した。未熟ながら綺麗にシャンプーをしてカットをしたネオの姿を見せると、両親はあっけなく、ネオを家族の一員として迎え入れることを許してくれた。なんだか自分の婚約者を紹介する時みたいで、どきどきしてお母さんが「飼っていいわよ。」って言ってくれた時は本当にうれしかった。
 一応動物病院で健康診断を受けて異常はなかったけれど、それから一週間位してネオを抱いている時に気がついた、なんだか心臓の鼓動がおかしい気がするって。そしてもう一度病院で検査をしてわかった。ネオは心臓が悪いって事が・・・。
 あまり急激な運動をさせたりはしないように、それだけが注意点だった、この一年は何の問題もなく健康に生活をしてくれている。
 私の大好きなネオ。
 その時私はネオと約束をした。ずっと一緒にいようねって。

「言ってきます。」
 私はネオにそう言って玄関の扉を開けた。

 自転車の前カゴにバックを押し込む。自分の使うシザーを一式詰めた鞄は見かけによらず、ずっしりと重い。

「店のオープンは十時だから、九時半にはお店に行ってオープンの準備をしてね。」
 自転車を出すのと同時に、私は店長の言葉を反芻した。ここからならフレンドまで自転車で二十分も掛からない。私は確りとハンドルを握りペダルを踏み込んだ。