「死んじゃいやだよ、ネオ。お願いずっと私のそばにいて。」
 ネオが小さくしっぽを動かした。
 こんなに自分勝手な私のために、ネオはしっぽを振ってくれた。
 胸が締め付けられた。
「ごめんね、ごめんね、ネオ。」
 頬から落ちた涙がネオの白い体に落ちた。

「そうだ。あのエプロンを取ってくる!もしかして綺麗に縫い合わせたら、ネオの言葉が聞こえるかもしれないもの。痛いところ全部聞いて直してあげる。だから待っててネオ。」
 そう言って私は立ち上がり、部屋を出ようとした。
 私が背を向け、扉に手をかけようとすると、ネオはクンクンと小さく鼻を鳴らした。
「行かないでって、言ってるの?」
振り向くとネオは、必死に起き上がり、私に付いてこようとしていた。
「エプロンがあれば、ネオの言葉が聞けるんだよ!ネオの望み何でも叶えてあげられるんだよ。」
 私はそう言って、もう一度部屋を出ようとした。だけどネオはもっと強く鼻を鳴らし、そばにいてって懇願しているようだった。

「解った。解ったわ。そばにいる。だから無理をしないで。」

 その時私は感じた。ネオがもうすぐ旅に出るということに。

「ずっと、そばにいるから。」

 胸が苦しくなって、自然に涙が溢れ出した。涙が止まらなかった。
 死に隣ると、人も動物も、誰でもいいからそばにいて欲しいと思う。それを強く感じた瞬間だった。