「昨日のフレディーと同じ・・・。」
 その時、私の中で何かが繋がった。
「もしかして・・・。」
 私は物干し竿に干してある、生乾きのエプロンを首からかけた。
「フレディー?」
「なんだよ。オイラが気持ちよく昼寝をしようとしてるのに邪魔をしないでくれよ。」
「やっぱりそうなの?」
「そうなのってなにがだい?」
「このエプロンのおかげで、フレディーの声が聞こえるの?」
「何を言ってるのさ、オイラはいつもこのままだって言ってるだろ。」
 私はエプロンを外した。
「いつものままのフレディー。ねぇ、今日は何処へお散歩に行く?」
 フレディーは今はそれより昼寝だといわんばかりに私の言葉を無視した。私はもう一度エプロンを首にかけた。
「今、公園に行きたいって言ったの?」
「オイラは土手を歩きたいって言ったのさ。」
 やっぱりだ、今まで犬の言葉が聞こえていたのは全部この水色のエプロンのおかげだったんだ。
「フレディー、私がワンちゃんと話せるのは、このエプロンをしているときだけみたい。」
「そんなこと無いだろう、オイラには、そのエプロンをしていようが、していましが、アズの声全部届いてるんだぜ。どんなときだって、エプロンのせいにしないで、ちゃんと耳をオイラたちに傾けておくれよ。」
 フレディーはそう言って目を閉じた。
 するとそのときだった。お店の中から裏庭に、バークレイが飛び出してきたのは。
「うっほほ~い。そんなところで昼寝をしているのはフレディーじゃないかぁ。退屈してるなら、俺様が遊んでやるぜ!」
 バークレイがフレディーに向かってそう叫んだ。
「嫌なこった。オイラは昼寝が好きなんだ。邪魔をしないでくれよ。」
 フレディーはそう言ってそそくさと犬小屋に頭を突っ込んでしまった。