水色のエプロン

「いらっしゃいませ。」
「どうも大島です。」
「ポメラニアンのミルちゃんですね。」
 私はミルを大島さんから受け取った。大島さんはミルにいい子にしてやってもらうのよ、とやさしく声をかけ頭をなでた。大島さんはお昼過ぎに迎えに来る。
「さぁミル。シャンプーよ。」
 私はミルをトリミング台に載せた。
「うわ、ミルのアンダーコート沢山抜けそうね。縺れが酷いわ。」
 ミルの毛は、長い間ブラッシングされておらず、抜け毛がオーバーコートの下で縺れあっていた。
「もう、背中もお腹もモジャモジャしてかゆいんでちゅ。」
 そう言ってミルは後脚でお腹をかいた。
「だめよ、かゆいのは解るけど、そんなにかいたらお腹に傷ができちゃうわ。今ブラッシングして、綺麗にシャンプーして気持ちよくさせてあげるから。」
 私の言葉にミルは目を輝かせた。
「よろしくでちゅ。」
 小ぶりなポメラニアンのミルはとても軽くモコモコした毛のせいで風船のように膨らんで見えた。
 何度も何度もスリッカーでとかしコーミングし、シャンプー前に取れるだけの毛を取り除いた。そして爪を切りヤスリをかけ、足の裏の余分な毛を落とし、耳掃除を終わらせる。
「さぁ、シャンプーに入れるわよ。」
 ミルはおとなしく泡に包まれシャンプーされていた。
「どう?半年振りのシャンプーは?」