水色のエプロン

本当は私、一人なんかじゃない。そう言いたかった。だけど・・・。
「店長!待ってください。」
 とっさに電話を切られるのが怖くなり、私は店長を呼び止めた。
秘密を秘密のままにするつもりなら、話せることなんて何も無いはずなのに。
「なにか問題でもある?」
 数秒間の沈黙が流れた。
「梓ちゃん?」
 私は心の中で次の言葉を捜し求めた。
「店長は、犬の考えてることが解ることありますか?」
 私はとっさに、少し違った形の質問を店長にぶつけた。
 すると店長は少し考えてからこう答えた。
「そうねぇ。解ることがあると言うよりも、大体のことは解るかな。」
 私は店長のその答えに驚きを隠せなかった。
「どうしてですか?どうして店長にはわかるんですか?」
 その答えを聞けば、私の今のこの状況も少しは理解できるようになるのではないかと思ったから。私は受話器の向こうの店長の答えに耳を澄ませた。