水色のエプロン

隣に座る真白なフレディーも夕焼け色に染まりオレンジ色のライオンになってしまったようだった。
「休みだからって、ちゃんとオイラの散歩とご飯を食べさせに来てくれるんだろうな。」
 フレディーは唯一のお楽しみがなくなってしまうのではないかと不安な表情を浮かべて見せた。
「めんどくさいから来るの、やめちゃおっかなぁ~。」
 私がふざけてそう言うとフレディーは遠吠えをあげた。
「やめてくれ~。」
 私はそれがとてもおかしくて笑った。
「大丈夫。ちゃんと来てあげるわ。」

 家に帰り、テレビを見た。バラエティー番組に歌番組。ふとテレビの横のサークルに目をやるとネオは静に丸くなって眠っていた。
「ネオ。」
 私が声を掛けるとネオは目を覚まし、小さくしっぽを振って、私の瞳をじっと見つめた。まるで私の口からこぼれる次の言葉を待っているかのように。
「だって、ネオは言葉が話せないじゃない。」
 ネオはそれでも私の顔を見つめている。少し首を傾けながら、何かを理解しようとしているかのようにもみえた。
「なんの夢を見ていたの?」
 だけどネオは答えなかった。
 私はネオから目をそらした。
その時ふと私の心に、今までとは反対の感情が生まれた。どうしてネオは言葉が話せないのかじゃなくて、どうして私は、犬の言葉が聞こえるようになったんだろうかと。どうして会話ができるのだろうと。フレディーや他の犬と、あんなふうに会話ができるようにならなければ、こんなふうにネオと言葉で話したいなんて思わなかったはずなのに。