水色のエプロン

もともとキャバリアは遺伝的にも心臓に疾患がある子が多いといわれている。キャバリアの心臓の弁膜症は解剖学的、遺伝学的、組織学的にも学説として確立されていると学校の講義でならっていた。
「どうしたら、他のみんなみたく、スリムになることができるんだい?ボクチンだってできることならスリムになりたいよ!」
 実際、犬は自分でダイエットすることができない、飼主さんがしっかりと管理してあげることしかできないのだ。
「そうね、やっぱり、餌の量の調節、おやつをやめること、それから適度な運動をするのが一番よ。」
「そんなぁ、それって全部ボクチンが嫌いなことばかりじゃないか。」
 ミートはがっくりと肩を下げ、それでもハーハーと荒い息をしていた。
「とにかく、トリミングを終わらせちゃいましょ。」
 ミートの巨体は見た目よりも持ち上げるのに力を必要とした。まるでお相撲さんを持ち上げているような感覚だった。
 私は、重たいミートをやっとの思いで台に乗せ、グルーミングを終わらせた。シャンプー台に運ぶのも一苦労。
「だけど、この重たい体を持ち上げているミートが一番大変なのかもね。」
 大きな体を洗い終えると、もう一度トリミング台に乗せ、ブローを開始した。水を含んだミートはより一層重たくなった。
 キャバリアの被毛は癖の強い子が多い。ミートの毛並みも癖毛だったので、カールをまっすぐ伸ばせるように丁寧にブローをしていった。