「おはよお」
「あ、おはよう」


結局寝られなかった
ふと顔を上げると優人が私の顔を覗きこんでいた


「お姉たん?」
「ん?」
「痛い痛いの?泣いちゃダメよ?」
「え?」

気がつけば私の目からは大粒の涙がこぼれていた
じっと私の眼を見ていた優人は突然走って部屋から出て行った


「お姉たん!!」

そう言って戻ってきた優人の手にはおせんべいの袋が握られていた
おもむろに袋を開けるとそのおせんべいを小さな手で割って私の口に入れてきた

「優人のおせんべあげる!!」
「ありがとう」

私はそのおせんべいを泣きながら頬張った
いつもよりしょっぱい味がした


「お姉たん!!優人、ママに銀のおせんべあげるの!!」
「銀の..おせんべい?」

優人の手に握られていた「銀のおせんべ」は
よく見るとお菓子の中に入っている乾燥材だった


「銀のおせんべい、ママにあげようか」
「うん!!」

優人と一緒に仏壇に銀のおせんべいを供え、手を合わせた


お母さん、優人と私は元気だよ
優人はお母さんのこと大好きだよ
新しいお母さん、正直いうと怖いけど
きっと仲良くできるよね
お母さん、大好きだよ


「ママーっ!!優人の銀のおせんべあげるー!!」



銀のおせんべ



-Another-

「お父さん、おめでとう」
「パパっ!!おめれと!!」
「ありがとう」