―――…

「帰ったらメールする」

そうあたしに言い残して
帰って行った彼の後ろ姿を
見えなくなるまで見つめてた。


「さぶっ!家入ろ」


この時にはもう
心は揺れていたかもしれない。

というか、予感がした。




あたし、この人に恋するのかな?



携帯が鳴ったから
ディスプレイを見ると
登録したばかりの見慣れない名前

――――高田 勇気――――


[今日楽しかったな]


絵文字もビックリマークもない
一文だけのそっけないメール。

[うん!送ってくれてありがと!]


普段一文では送らないあたしも
ちょっと真似して返す。


こんな一言ずつの会話のような
メールのやり取りが夜中も
続いて、気づけば朝。

なんてことがあたしと彼の
間では日常茶飯事になった。


塾でも話す回数が増えて
数週間後には《好き》って
素直に思えたんだ。