「何もないのかよ。いいのかそれで。」
「え、合コン反対してたのに、どうしてがっかりするの?」
「いや、せっかく行ったからなんか期待しちゃったんだけど…。」
由宇君は私をまじまじと見た。
「芽衣、どうしたのその格好。寝起きみたい。いくらなんでも…、もうちょっと…。」
昨日の教訓を活かして汚い服装をしていた。
髪もボサボサのまま、素っぴんでスウェットの上下。
「おはようございま〜す。」
店に誰か入ってきた。
振り向くと。
「あ、サトル君。」
サトル君は私がいつもと違う格好していて気付かなかったみたいで、
私を見て目を丸くしていた。
「め、芽衣?後ろ姿誰かわかんなかった…。」
「な、そうだよ。もうちょっと女の子らしくしないと運命の出会いも逃すよ。」
あたしは返答に困っていた。
昨日おしゃれしていてナンパされたから。
っていう理由をサトル君の前で話すのがイヤだった。
「昨日ナンパされたから?」
サトル君が言った。
あたしは仕方なく頷いた。
「芽衣ナンパされたの?サトル一緒だったんじゃないの?」
「いや〜ちょっと離れた隙に。」
「それはサトルが悪いんだろう!何の為に迎えに行ったんだよ。」
由宇君が真面目に言った。
「それもそうか…。」
サトル君も落ち込んでしまった。
「あ、でもあたしが歩くの遅かったから。」
由宇君は私を見ている。
「これからはサトルや俺が守るから心配しないでおしゃれしろよ。
でないと年頃の娘がそんな格好じゃ、ちょっとな…。」
由宇君はまるで父親のような面持ちで話した。

