由美ちゃんちの帰り由宇君のお店に寄った。



サトル君が働いてた。


「いらっしゃ……。」


サトル君はあたしに気づくと言葉を止めた。

同時に笑顔も消えた。


「昨日はありがとう。」

「え?あ、いやこちらこそ。」

「由宇君いる?」


「奥の事務所じゃないかな。」



「ありがとう。」


と言ってサトル君と離れた。
合コンのお願いなんてとても出来そうな雰囲気じゃないな…。
どうして気まずいんだろう。



「由宇君。」

と言いながらガチャっとドアを開けた。


由宇君はパソコンに向かっているところだった。

あたしが入っていくと立ち上がって出迎えてくれた。
「おう、芽衣。どうしたの。珍しいじゃんか。」


「由美ちゃんちに行った帰りなの。」



「そうか。まあここ座れよ。サトルに会った?」

言いながらパイプ椅子を出してくれた。

「うん、会ったよ。」


「昨日映画行けなくてごめんな。セール前だから忙しくて。バイトは休むし。」


「いいよいいよ、大変だったね。由宇君が行きたがってたからなんか申し訳なかったけど楽しかったよ。映画館行きたがる由宇君の気持ちわかったし。」



「楽しかったなら良かった。サトルとなんか話した?」

聞かれてしばらく回想する。

「うーん特に、サトル君て無口だよね。」


あたしが言うと由宇君は苦笑いしてた。



「あ、ちょっと待って。もうすぐ仕事終わるから待ってろよ、飯でも食い行こうぜ。」


そう言うと由宇君はまたパソコンに向かい始めた。



時計を見ると8時だった。