歯がゆい。
としか言いようがない。
「今も、サトルが好き?」
聞いてみたけどすぐ後悔した。
愚問だった。
芽衣は困ったように笑った。
「もうそれもよくわからない。」
芽衣はそう言ったけど。
好きに決まっている。
「じゃあ俺そろそろ行くね。」
立ち上がった。
芽衣は玄関まで見送りに来てくれた。
俺が靴を履いてると芽衣が言った。
「あたし引っ越すの。今までいろいろありがとう。」
芽衣の言葉にびっくりして振り向いた。
「え?!ちょっと、待てよ。」
すると芽衣は落ち着いた様子で答えた。
「もう決めたことだから。由宇君にはすごく感謝してる。離れるの寂しいけど、ここには居られない。」
「住所教えてよ。」
といった俺を笑って見ているだけだった。
俺はそれ以上何も言えなかった。
すごく心配だけど、俺が解決出来る訳でもないし。

