「芽衣、悲しい時に無理して笑うことないんだぞ?」
俺が言った。
「…悲しいのか悲しくないのかもうわからなくなった。無理して笑ってるつもりもない。」
芽衣は少し真剣な顔で言った。
俺の出したパスタとスープとサラダは全部食べてくれた。
少しやつれたようにも見えたから食べただけでも安心した。
俺は最後にもう1つだけ聞きたいことがあった。
「零次ってやつとは会ってる?」
芽衣はその名を聞いて一瞬目を見開いた。
そして首を横に振った。
「…思い出すから…。」
小さい声でそう言った。
思い出すのは、サトルのことだろう。

