何で隠れたんだろう、早くも後悔した。
マンション前に植えてある木の陰にいた。
芽衣と零次が車から降りてきた。
芽衣は元気なさそうに見えた。
零次と何か話ているが、声は聞こえない。
俺は、隠れているのも辛いから出て行くなら今だと一歩前に出た。
そのうち芽衣が、おじぎして立ち去ろうとしたのを、
零次が引き止めた。
と思ったら、キスした。
俺は、慌てて木の陰に戻った。
もう一度見ると今度は抱き合っていた。芽衣はなすがまま、零次に身をゆだねているようだ…。
木を背もたれにして座り込んだ。
それ以上芽衣を見れなかった。
終わってたんだ。
もう芽衣の中では、終わったことなんだ。
会いたいのは俺じゃないんだ。
連絡なんて待ってないんだ。
バッカみてー。俺。
良かった、今日会えなくて。
不幸中の幸い。