でも芽衣は違った。
動いていない芽衣が此方を見た。
「ごめんなさい。」
突然謝りだした。
それで俺も、現実を見ない訳にはいかなくなった。
「なんか謝るようなことしたの?」
もう繕う余裕はなくなっていた。俺の問いかけに芽衣は首を横に振った。
そして沈黙。
頭の中は混乱してよくわからない。
何もしてないならなんで謝るんだよ!
っていうフレーズがぐるぐる回っていた。
怒鳴りつけたいのを抑えた。
俺はその場に荷物を下ろして芽衣の方に歩いていき、すれ違いざまに
「ゴメン、俺もう無理。」
と言って帰ってきた。

