その日、定時で仕事を終えた。
会社を出ると、将吾君が待っていた。
あたしは驚いたのと嘘がバレたと思って鼓動が速くなった。
血の気が引く感じ。
将吾君はあたしを見つけると駆け寄って来た。
「早かったじゃん。」
将吾君は嬉しそうに言った。
「待ってようと思って。」
将吾君が言う。
あたしは顔が見れなくて俯いてしまった。
「迷惑だったかな…。」
将吾君は声のトーンが落ちて言った。
「そういうわけじゃ…。」
あたしも小さな声で言った。
「芽衣ちゃんどうした?元気ないみたいだけど。具合悪い?」
将吾君は背中に手をまわしてあたしを引き寄せた。
将吾君とくっつきそうになって驚いて、思わず離れた。
「あ、ゴメン。」
将吾君も思わず謝った。
「……び、びっくりして、……慣れてないから。」
あたしは動揺して声が大きくなった。
「ああ、そうだよね。」
将吾君はあたしに触れないように気をつけているみたいだった。
あたしも将吾君の手を警戒していた。
将吾君の車に乗った。
あたしの心は石を飲み込んだみたいに重たくて、青空を見たことがない花みたいにショボンとしてる。
迷子の気分。
あんなに仲良かった将吾君が今は知らない人のように思える。
なんでだろう。
「本当にどうしたの?」
あたしは首を横に降った。
「大丈夫?」
将吾君の問いかけに頷いた。
「なんかご飯食べに行こうか。」
あたしは返答に困った。
そのまま黙っていた。

