あの日はあっさり訪れた。

夏休みが始まる少し前。

その頃にはあたしも

陸のお陰ですっかりクラスのみんなになじめていた。

でも

やっぱりあたし達は

初めて会ったあの日から

何の変わりもなかった。

普通に


「友達」

っていう当たり前の関係だった。

9月になったら

宿泊体験学習がある。

その時に

告白しようと思っていた。

だけど

陸はそんなに待ってはくれなかった。




前期最後の日

教室に入って来た先生の顔色が少し悪い気がした。

先生は1つだけぽっかり空いた

陸の席を見つめていた。

みんなも、あたしもただの風邪か何かかと思っていた。

それから先生は口を開いてこう言った。

「長谷川 陸くんは、おうちの都合により転校しました。本当はみんなに自分の口から言おうとしてたみたいだけど、やっぱり泣いちゃいそうだからって言って・・・」

教室は一気に静かになった。

その後は・・・

誰も何も言えないまま、ホームルーム終了の鐘がなった。