「何の鍋にする?」

「優音…」

「あ!キムチあったっけ?」
「優音。」

「白菜はあったよな。」

「優音!」

「鍋、どこにしまったっけ…」

「優音!!こっち向けよ!なんで泣いてんだよ!」


泣いてないよ。

あたしは泣いてなんか…

『なぁ?お前はなんでそんなに苦しそうに笑うんだ?』


あたし笑えてないの?

「何それ…あたし笑えてるよ?」


「わかんだよ。同じだけ辛い過去で生きた者同士、お前が苦しんでんの目に見えてる。」

「―――っ」


「無理に笑うなよ。俺の前だけでも、泣いていいから。優音泣けよ。泣きたいんだろ?なぁ?泣けよ…」


「うっ――は、る~あたし、あた、しなんで苦しいんだろ?」

「あぁ」

「なんで…なんでハルがいるのに…桜咲がいるの?」

「!?…桜咲…」

「嫌。嫌だ。あたし1人になりたくない。ハルぅ、あたしを捨てないで…あたしハルの側にいたい。」


「大丈夫だから

“お前は1人じゃない”。」