「あっ、てか記憶戻ったん?」 「あー知ってるんや」 「まぁねー」 「てゆか、尚輝だけやし」 「なにが?」 「うちの前に現れへんかったん」 今思えばそう。 夏美でさえも私の前に現れたのに。 尚輝って何も考えてなさそうやから、普通に前出てきそうやねんけど。 「あー、だってさ」 また、中身のない笑みを浮かべる。 今度は、嫌な予感がした。 「記憶の無いゆいちゃんには興味ないもん」 ニッコリ微笑み、ジュースを捨てる。 それは私の足元に落ちて。 私はただ、固まった。 .