泣きそうな顔を見たくないと思った。
辛そうな顔をしないでと思った。
違う、龍のせいちゃうよ。
うちが弱かったから。
だからそんなに自分を責めんといて。
心の中で声がする。
でも、口に出せない。
「…なんで、」
「え?」
「なんで俺だけ名字で呼ぶんすか?!」
「ちょっ…!!!」
「名前を呼んで下さいよ!!!昔みたいに!!!」
「やっ…!!!」
罵倒の後に、包まれる体。
今度は力が強くて離せない。
熱い。
頭が混乱する。
しっかりと背中に回された腕は懐かしい。
何度も守って貰った、腕。
笑い合いたい。
また皆の所に戻りたい。
どうしよう、今本気でそう思ってる。
今、名前を呼べば。
「…―龍」
何かが変わりそう。
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