背後から聞こえるのは寿の声。

きっといつまでも降りて来ない私を呼びに来たんだと思う。





振り向けない。

涙を見られたくない。










「風呂、沸いたから」


「……………」


「ちゃんと砂落とせよ」







優しい言葉が余計に心に響く。

いつもはうるさいくせに。







「後、龍とゆいは好き合ってたで」


「……え?」


「誰も教えへんから教えといた」


「ありえ、」


「もうゆいは一人ちゃうねんから、少しは周りを信じていいと思うで」








去り際に、告げられる言葉。

一気に言われて混乱したけれど。






白咲を好き?

うちが?





でもそれは写真が証明している。

認めたくないけど。






わかってるよ、一人じゃないんは。

ただ、どう接したらいいか分からん。

だってずっと一人で生きてきたもん。









窓から見える空は未だに晴天。

けど私の心は、










雨。










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