「紫織、落ち着け」
突然、その声と共に紫織は私の上から居なくなる。
顔を上げると蓮がいて。
「あーあ、ゆいさんも砂だらけ」
と、同時に私の体も浮き上がる。
振り向けば龍。
どうやら立ち上がらさせてくれたらしい。
いつもなら、その手を離すのに。
今はそんな気になれない。
「ゆいさん」
「……………」
「正直俺も思い出して欲しいです」
「…なんやねん今更」
「今更じゃないっすよ、ずっと思ってました」
紫織は蓮に抱かれ、泣いている。
私は動けなかった。
「俺が全ての元凶ですのにね」
だって皆哀しい顔をするから。
イラつきを忘れてしまうぐらいに。
.

