「英寿、くん?」
両手を顔から離す。
離す前と景色は変わらないけれど。
英寿くんは分かった。
私の考えていて、龍に伝えたいことを。
涙が、溢れ出す。
「どういう意味、」
「ガキみたいにキレんと、最後まで話聞いたれ」
「は…?」
「本間にお前を振ったなら、ゆいが辛そうになるわけないやろ」
殴られ、地面に倒れてしまった龍の胸倉を掴んで。
英寿くんの低い声と鋭い瞳。
共に龍を見下した。
「本性隠してゆいに近付くお前が嫌いやで」
「、」
「それでもゆいがお前の事を好いてるから俺は身を引いた」
「英寿さ、」
「けど今のお前に、ゆいは任せられんわ」
そう言って龍から手を離して。
英寿くんは立ち上がった。
「ゆい、行くぞ」
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