「ちょっと兄ちゃん大丈夫かい!?
どっか怪我はしてないのかい!?」
近くを通りかかったオバサンが青い顔をして俺に話しかける。
「なんて運転してるんだろうねー?
危ないじゃないかいっ!!」
「……。」
オバサンの声さえ聞こえずにいた俺は、ゆっくりと家に向かって歩き始める。
「あ…、あの…っ!?」
「ちょっと兄ちゃん!?」
(そうだ…。綾香はもういないんだ……。)
その時の俺はどう帰ったかなんて覚えていなかった…。
家に帰った俺の足は怪我をしていたらしく青くなった窓香さんに怒られた…。
その時の俺は窓香さんの声さえ聞こえずにいた…。