「大丈夫?窓香ちゃん…?」
「ちょっとキツいな…。少し横になる…。」
「無理しないでね…。眠れてないんでしょ…?」
(母さん…?なんで母さんが…?)
寝室から聞こえてきた声に驚いて、俺はしばらく寝室の前に立っていた。
「……。」
「眠れるわけないわよね…。アヤちゃん、一人娘なのに…。」
母さんは悲しそうに言葉を区切る。
「大切に育てた一人娘に先立たれたら……。」
母さんの声は、一瞬詰まる。
「ダメね…。私が泣いたって、意味無いのに…。」
「……。」
俺は黙って立っていると、後ろに誰かが立っていた…。