先生さまはキスで繋ぐ

「俺はな、バイトをするなとは言わねえよ。人にはそれぞれ事情があるんだし」


「お小遣い稼ぎでも?」


「それも事情の一つだからな」


「へえ……」


 意外。真面目だから、すぐやめろって言われるのかと思った。


「それでも、ここでバイトすんのはやめとけ。別のバイトがいくらでもあるだろ?」


「なんで? ここ、時給いいの。先生知らないでしょう?」


「時給が高くても、だ。そんな格好してるだけでも、少なからず欲望のはけ口に使われるんだってこと、ちゃんと理解してんのかよ」


「へー、意外。先生でもそんなこと考えたりするの?」


 私はちょっと笑った。


「茶化すな、藤堂。もっとちゃんとした普通のバイト先があるだろ」


「イヤ。普通のバイト先だと、見つかっちゃうかもしれないでしょ。ここだって、先生がそんな特殊な趣味じゃなければ誰にもバレなかったのに」


 そう言うと、先生は目に見えて焦り始めた。