先生さまはキスで繋ぐ

 身をよじっても、先生は動かない。離してくれない。


「……っはあ」


 ようやく解放してくれた先生は、私が平手打ちを放つよりも早く、スッと一歩退いた。


「……なに、すんの。訴えてもいいの?」


「訴えれば? 俺は悪いことしたなんて思ってないよ」


 涼しげな表情で、わらう。


 前髪が風にさらわれて、その端正な顔があらわれる。


「……っ」


 あまりにも余裕なその表情と、悔しいけれど整った顔に、私は何も言えなくなってしまった。


「……関わりもない生徒にキスしておいて、悪いことしたなんて思ってないって……あんた、教師としてサイテーじゃないの」


 悔しくて睨み上げると、先生はニコリと微笑んだ。


「教師である前に、男だから」


「……は?」